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猫と植物。時々アタシ。

静かな夜 ≪#249 ≫

2018/09/06 14:06 晩ごはん くらし 家族

台風21号、北海道地震で被災されたかたに謹んでお見舞い申し上げます。


「ただいまの時点では、復旧の見通しは何時になるかわかりません。」


21時50分になってやっと、このアナウンス。

だったら思わせぶりな態度は、最初っから止めてくれればいいのに。

さっさと見切りをつけて、他に乗り換えるわ。


ウダウダはっきりしないオトコ対する、捨て台詞のような言葉を心の中で呟き

改札口の前を離れた。

奇跡のように復旧していたJRにに飛び乗る。

駅を出ると、風雨の勢いはいくぶん収まっている。

疲れているのに、なんでこんなにずんずん歩けるんだろう?

近くを歩いている、サラリーマンらしい男性に負けまいと歩幅を広げる。

赤信号で止まっていたら、男性はすっと行ってしまった。

車も来ていないのに、アタシは律儀に守っている。

おかしくなって横断歩道の縞の上を、跳ねるように歩いた。

ガウチョパンツの裾が水を吸って重い。

濡れたソックスと、靴の踵がこすれて痛い。


古い民家の壁が崩れ落ち、看板が飛ばされている。

線路から東側が停電していて、マンションが巨石群のように見える。

手前の病院は不夜城だ。


真っ暗な階段を昇り、ドアを開ける。

「ただいまぁ、」

「あぁ、、やっと帰れたよぉ。」

懐中電灯の灯りの中で、娘と猫様が待っていてくれた。

電気と水が止まって約9時間。

どうやって過ごしていたのか聞きながら、テーブルの上に

カツサンドとおにぎりと水を並べる。

そうだ、トイレ用の水が要るよね。

井戸から汲んでくるよ。

ジョウロとバケツを持って、集会所にある井戸に水を汲みにいった。


テーブルの上にアロマキャンドルを燈して、二人で遅い夕食を摂った。

「お誕生日みたいだね。」


常時回っているトイレやバスルームの換気扇。

冷蔵庫のコンプレッサーやファン。

扇風機のモーター。

それらの音がしない静かな部屋。


この感じ。

あぁ、そうだ、思い出した。

入居が決まって初めてここに入ったとき、こんな感じだった。


窓の向こうで、稲光がフラッシュのように光っている。

猫様がフードを食べている音がカリカリと響く。


もう一度、水を汲みに行こうと階段を降りたら、

マンションの灯りがいっせいに点いた。

階段を駆け上がる。

「点いたね!」

「水も出るよ!」

止まっていた音があふれ出す。

娘が言う。

「文明開化の瞬間だね!」




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